右手には煙草。
左手には缶ビール。
眼前には鉄柵越しの見慣れた夜景と月。
「こんなのガラじゃないけど・・・・・まぁ偶にはいいべや?」
煙草を咥えながら空を見上げた。綺麗な月だ。
「ああまたガラでも無い事を想っちまった。酔ってるのかな。」
そう呟いて右を向く。
コイツは俺とは違ってこういった場面が似合ってる。
違っているからこそ、親友として惹かれあっているのかも知れない。
そうしてまた如何でも良い会話を再開する。
2人で月を見上げながら。
気が付くと、月は少し遠くへ行ってしまっていた。終わりが近い。
「あーそうだ。どうしてもお前に言わなきゃいけない事があった。」
だから言わなければ。
「こんな事になっちまってごめんな。」
相変わらず月を見上げたままの横顔。
ちょっと困ったような顔で笑っていた。と思う。
「それとな、お前と出会って本当に良かった。楽しかったぜ。」
喩えこの時間が夢や幻だとしても、この言葉は俺の中で紛れも無い真実だから。
「ありがとう。」
自分でも愕く程、素直に、心の底からそう言えた。
そうして煙草に火を点ける。
長い静寂。申し訳無いと思った。楽しかったと思った。ありがとうと思った。
だから言った。心の底から言った。最後に伝えられて良かった。
「・・・・本当に今日の俺はらしく無いよな。」
煙草を咥えながら横を向く。
「全く。俺がこんな事言うなんて本当にどうかしてる。」
徐々に存在が薄れてゆくのを感じる。
そして、初めて一緒に帰った時のあの笑顔のまま。夜の学校で騒いだ時の笑顔のまま。俺が一番好きな笑顔のままバイバイ、と言って消えていった。
もう2度と聞けない、だけど2度と忘れない言葉で言った。
「・・・・・・・じゃあな。」
そうして泣いた。誰かに見られたら煙草の煙の所為にしよう。
だからこの煙草が無くなったら泣けない。この煙草が無くなる間だけ。
 
空が青み懸かっている。朝特有の凛とした空気が心地好い。
「なぁ爺ちゃん。これで俺も先に進めるかな?」
煙草に火を点ける。今日も良い天気になりそうだ。
「そうだな。布団、乾すか。」
 
 
■半分実話、半分妄想の話。
 
つー訳でした。
月と夜景見ながら煙草吸ってたら、バイクで事故って逝っちまったダチが隣に居るような気がした。
折角だからイロイロ喋った。
久々の再会記念って訳じゃないけど、忘れないように。
 
文章力、表現力が拙くて何ともアレな文章だ('A`)